呼吸器内科
呼吸器内科
呼吸器内科では、おもに上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)と下気道(気管、気管支、肺)を対象に、広く呼吸に関する病気を扱います。具体的には、息切れやせき、たん、のどの痛みなどの症状について診断を行って適切な治療を行います。
せきやたんなどのありふれた症状でも、長く続く場合や治りが悪い場合は、肺炎、肺結核、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、心不全といった比較的重大な病気がかくれている可能性があります。特にせきやたんがなかなかおさまらない、呼吸に伴いゼーゼー、ヒューヒュー音がする、少し歩いただけで息苦しい、胸のあたりが痛いなどの症状がある方は、気管支や肺に異常がある可能性がありますのでご相談ください。
また、タバコを吸う方は、呼吸器疾患のリスクが高くなりますので、ぜひ禁煙することをおすすめします。
気管支喘息は、急に空気の通り道となる気管支が狭くなってしまい、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」し始めて呼吸が苦しくなる状態(いわゆる発作)を繰り返す病気です。気管支喘息では、気管支に慢性的な炎症が起こっていることが分かっています。
この炎症のために簡単な刺激が入っただけでも気管支の壁が腫れたり、粘液(痰)が分泌されたり、気管支の周りの筋肉が縮もうとしたりして気管支が狭くなってしまい発作が起こります。そのため、炎症を治さない限りいつまでも発作が出現します。
さらに、長く炎症が続いてしまうと気管支自体が硬くなって治療が難しくなる「リモデリング」といった状態に陥ってしまいます。診断は症状と除外診断から総合的に行います。必要に応じ呼吸機能検査や胸部レントゲン検査、心電図、採血検査等を必要とします。
治療は気道の炎症を抑えるために吸入ステロイド薬を柱に様々な内服薬、吸入薬を必要に応じ調整します。また喘息のコントロール不良な方はピークフローメーターをお渡しし、ピークフロー値をモニタリングしながら治療を行います。
咳喘息(cough variant asthma: CVA)は、喘鳴「ヒューヒュー」「ゼーゼー」や呼吸困難発作を示さず、呼吸機能検査が正常であるにも拘わらず、慢性の空咳(痰を伴わない咳)だけが続く病気です。
日本の慢性咳嗽の最多の原因(30~40%)とされております。治療としては気管支喘息と同様に吸入ステロイド薬を用います。またβ2刺激薬も有効であります。咳喘息は気管支喘息の前段階と考えられ、放置しておくとその30%が気管支喘息に移行するため、吸入ステロイドを継続することが予防に大切と考えられております。
症状は空咳が続くことで咳喘息とよく似ています。しかしβ2刺激薬が無効であり、代わりに抗ヒスタミン薬が有効であること、喘息へ移行することがないことが咳喘息との違いです。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、息をするときに空気の通り道となる気管支や肺に障害が起きて、呼吸がしにくくなる肺の「生活習慣病」で、喫煙と深い関わりがあります。以前は「肺気腫」と「慢性気管支炎」に分けられていた病気を、まとめてCOPDと呼ぶようになりました。
日本における、COPDの発症率は40歳以上で高く、その患者数は530万人以上といわれています。
COPDにかかると、風邪をひいているわけでもないのに咳(せき)や痰(たん)が出ます。病状はゆっくりと進行していき、次第にちょっとした動作をする際にも、息切れや息苦しさを感じるようになります。さらに進行すると呼吸困難になり、日常生活に支障をきたします。重症になると呼吸不全に陥ったり、全身に障害が現れたりすることもあります。
肺は体内の二酸化炭素と、体内に取り込んだ酸素を交換する重要な器官です。その肺の組織が、細菌やウイルスなどの病原体に感染し、炎症を起こしてしまうのが肺炎です。
感染の原因としては、高齢である、他の疾患にかかってしまった、などの理由で身体の免疫力が低下し、肺にまで病原体が侵入して、感染するケースが多いようです。とくに、かぜやインフルエンザにかかり、ウイルスによって気管が傷つけられてしまうと、病原体を体外に排出できず、肺炎にかかりやすくなってしまいます。
肺炎の主な症状は、せき、発熱、胸痛、痰がでる、息苦しいなどで、かぜの症状と間違えられやすいのですが、症状が長引き、かぜの症状よりも重いのが特徴です。
肺の良性腫瘍は気管支、肺実質、血管、胸膜などから発生し、肺腫瘍全体の2~5%を占めます。肺の悪性腫瘍と比べるとまれで、肺癌や転移性肺腫瘍との鑑別において重要です。
一般的には無症状で、健康診断や他疾患の治療中に胸部エックス線や胸部CTで異常陰影として発見されることが多いです。大きくなる速度も遅く、他の臓器に転移することもありません。画像で肺癌と似ていることがあるため、慎重に経過を追うことがあります。
また症状やレントゲン写真上で肺悪性腫瘍(肺癌等)が疑われた場合は、近隣の病院でCT検査等をお願いするなどの精査を行います。
結核菌は、ふつうの細菌のように手の指や土の中、水回りなど、どこにでもいるものではありません。通常は、感染したヒトの体内でのみ分裂・増殖し、発病したヒトが咳をしたときに出てくる"しぶき"(飛沫核といいます)の中の菌が空気中を漂い、それを大量に深く吸い込んだ人にのみ伝播する病気です。
したがって、結核の病変は多くが肺(「肺結核」といいます)ですが、肺以外でも頸や腋のリンパ節、胸膜、脳、骨、腎臓など肺以外のいろいろな部位に病気をおこすことがあり、これらをまとめて「肺外結核」といいます。
咳、痰、血痰、胸痛などの呼吸器関連症状と、発熱、冷汗、だるさ、やせなどの全身症状です。
結核は、一般的な肺炎やインフルエンザなどの呼吸器感染症とは異なり、ゆっくりと進行し、初期の症状が軽いため、自分ではなかなか気づかず、残念ながら診断時にはかなり進行していることがあります。時に命に関わるほど重症化することもあれば、重い後遺症のため呼吸不全に陥ったり破壊された肺に他の菌が感染を起こして肺炎を繰り返したりすることがあります。
同時に、接触した大勢の人に病気をうつしてしまっているかもしれません。そうならないためにも、早く医療機関を受診すれば、軽症で後遺症なく完治することができますし、大切な家族や友人を感染させてしまうことも防ぐことができます。「2週間以上続く咳は結核を疑うサイン」です。あまり気にならなくても、咳が続く場合は必ず医療機関を受診してください。